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『ワールズ・エンド 酔っ払いが世界を救う』

 

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Netflixで『ワールズ・エンド 酔っ払いが世界を救う」を見たので、あらすじとともに感想を簡単にメモ。

あらすじ

ひと晩に5人で12軒のハシゴ酒という学生時代に達成できなかった挑戦にリベンジすべく、故郷であるイギリス郊外の街ニュートン・ヘイヴンに戻ってきた中年男性たち。終点となる12軒目のパブ、ワールズ・エンドを目指して、ひたすら飲みまくっては大騒ぎする彼らだったが、どこか街の住民たちの様子がおかしいことに気付く。やがて、住民が何者かによって操られていることが判明。目を光らせて青い血を流す彼らに追い掛けられながらも、五人はハシゴ酒を成し遂げようと逃げては飲んでを繰り返していく。(シネマトゥデイより)

 

 

おじさんたちがパブ・クローリングするところがただひたすらに楽しい

 

サイモン・ペッグやマーティ・フリーマンなど、ハリウッドでもおなじみになった俳優たち。サイモン・ペッグとしてはもちろんミッションインポッシブルのベンジーもかわいいんだけど、サイモンの真骨頂は以外とハードボイルドな役柄をやったときに、にじみ出ちゃうかわいさにあると思う。

 

パブ・クローリング(パブをはしごすること)を自分がやることを想像すると、「楽しそうだけど明日の二日酔いが辛そう」っていう気持ちに頭の中が支配される。常に保険を掛けながらお酒を飲む自分が想像されて、「自分も年取ったなあ」なんていう自分自身に少し悲しくなる。だから、サイモン・ペッグ演じるゲイリー・キングが12件目のパブ『ワールズ・エンド』めがけて突き進む姿にはなぜか勇気づけられる。「いつまでもまっすぐ走ってくれ!」

 

ブランクたちが適度に弱いのがいい

侵略者たるブランクたち。

ニック・フロスト演じるアンディが途中無双!ってな感じでブランクたちをなぎ倒していました。なんならグーで殴れば顔が粉砕する程度に。おじさんたちが適度に戦える程度の敵というのは見ていて楽しい。キングスマンコリン・ファースみたいなおじさんはめったにいないはず(でも熊退治で新聞に載るのは、日本のおじいちゃんたち)。

 

アンディとゲイリーの昇華されない気持ちにぐっときた

映画の冒頭から、アンディとゲイリーの間には何かあった感がムンムン。

ゲイリーが昔の仲間であるオーマンやスティーブン、ピーター達をパブクローリングに誘ったとき、全員が口にした言葉は「アンディは来るのか?」

アンディとゲイリーがお互いの正直な気持ちをぶつける場面には、不覚にも感動してしまった。ゲイリーは前回のパブ・クローリング以来、大人にもなり切れず、過去の栄光にしがみついたまま。しこたま飲んで酔いつぶれてみた朝日があまりにさわやかで、自分は何者にもなれるんだ、という希望みたいなものを感じていた。その時のすがすがしさや希望をもう一度手に入れたくて、このパブ・クローリングに再度挑戦したのだろうということが想像できる。

一方で、アンディも親友だったゲイリーに逃げられてから、仕事に家庭に全力を尽くしてきたけれど、家族との意思疎通で苦労を重ねている模様。中年の苦悩が伝わってきて、不覚にもちょっと泣きました。

 

誰も、輝かしい未来を夢見て人それぞれの努力をするけれど、努力が結果に結びつくかどうかは運次第。私自身、つらいことや嫌なことから逃げてばかりで、こんな人生でいいいのだろうか、とクヨクヨしてしまいがち。自分の決断や行動を後悔して悔やむことも多いけれど、どんな解釈でも自分の選択を正解にしていくしかないのだろうと感じた。

最後の急展開にもグッとくる。

ゲイリーもアンディも今の自分の生き方を選んだ結果(ゲイリーは今の自分のままアウトローに生きるし、アンディは指輪をしっかり奪い返して奥さんを思い続ける)偶然にも世界のほうが彼らの生き方に合うように変容してきた。意外にも人生ってそんなもんなのかもと思った。