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『クレヨン王国 まほうの夏』

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読んだきっかけ

青い鳥文庫といえば、講談社の児童向け文庫シリーズ。

私も小学生の頃に、夢中になって読みました。

なかでも、クレヨン王国シリーズは何十冊も出ていて、

図書館で読んだことのない本を見つけるたびに借りて読んでいました。

 

この間、残暑が厳しい昼中に外をずんずん歩いていたら

急に子供の頃の夏休みを思い出しました。

自分が小学生の頃は、住んでいたのが田舎だったこともあり

家でクーラーがかかっている部屋は1部屋しかなく、

そこで本を夢中で読んでいました。

 

そういえば、あのときよく読んでいたのは青い鳥文庫

そんなことを思い出して、久々に近所の図書館で借りて読んでみることにしたのです。

 

クレヨン王国シリーズ

今調べてみて本当に驚いたのですが、クレヨン王国シリーズの第一作は1964年発売!

50年以上前の作品だったとは・・・。

その後、新装版など姿を変えつつ今でも愛されているシリーズのようです。

今回借りて読んだ『クレヨン王国 まほうの夏』は1986年の作品です。

 

読んでみて

行方不明になった同級生を探し出す、という推理小説の要素とクレヨン王国というファンタジー性が融合したストーリーは面白かったです。

また、小学生の男女が、水太というクレヨン王国の落とし物を育てあげることで、親というロールを経験していく過程がとても丁寧に書かれていました。

男の子と女の子の使う言葉の違いに若干の古さは感じたけれど、それでも男らしさ、女らしさの押し付けはあまり目立たず、今でも十分にリーダブルのように感じました。

 

大人向けな解説

解説まで読んだのですが、解説の内容はかなり大人向けです。

解説部分は子供むけ、というより保護者向けかもしれません。

本作の解説は児童文学評論家の宮崎芳彦さん。

当時の時代を『女流作家の台頭』と『空想小説優位』の時代ととらえています。

文学賞の受賞者に女性作家の割合と、ファンタジーの要素を取り入れた小説が

10年前と比べて増えたということ。

さらに、女性作家の活躍は社会の写し鏡的なものだとも言っており、

少なくともこの時代では、日本のジェンダーギャップというものは

将来に向かって減っていくことを予期していたように感じます。

 

作家というところで言えば、著名な女性の作家は多く思い浮かびます。

そういう意味で小説家や漫画家は男女平等なイメージがかなりあります。

 

しかし、政治やビジネスの場となるとなぜこの流れがいまだになってこないのか。

この時代から40年近くたつのに、日本社会はあまり変わっていないとも言え、少し残念に思います。

昨日、菅さんが自民党総裁に選出されたが、自民党幹部はほぼ高齢男性が占めるという結果に。まあ、想定してたけど。

特に政治という分野は、広く国民から集めた税金を適切に再分配するという役割だと思うので、社会の構成員から広く集める必要があると思うのに、なかなかうまくいきません。