桐島、会社やめるってよ

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『新宿区立漱石山房記念館』に行ってみた

 

新宿区立漱石山房記念館

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夏目漱石が生まれ育ち、さらに終焉の地となった新宿区に建てられた記念館。

最寄りは東西線早稲田駅だそう。

神楽坂駅からも徒歩15分程度なので、神楽坂から散策がてら行くのもよさそう。

あまりにもベタで友人にも言っていないのですが、たぶん私が一番好きな小説家は夏目漱石なのです(谷崎も好きだけど)。

年齢とともに変わっていくのですが、 20代前半のときは「行人」や「それから」が好きだったのですが、最近は「門」の良さにも気づいてきました。

 

漱石ファンにはありがたい展示

展示を見るには300円の入館料が必要ですが、カフェや漱石に関連した本を置く図書室は無料で利用可能。

 

お金を入って展示室に進むと早速現れるのは漱石が執筆に利用していた書斎。

漱石が亡くなった後に撮影された写真や門下生たちの聞き取りから当時の書斎を再現したそう。本がたくさんおいてある部屋は無条件で好きなので、とりわけ漱石の書斎となれば大満足。

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階段を上ったところには、漱石の作品を紹介する展示たち。

当時出版された実物の本が置かれ、なかなか良い感じです。

昔の本って装飾もすごくきれいで重厚感もあります。

今よりも本の価値が相当に高かったのだろう。

 

漱石とかかわりのあった小説家や学者、歌人などの紹介の展示もあり漱石の人間関係がなんとなく見えてきます。

 

また、定期的に展示内容が変わる特別展として、漱石が友人や門下生と交わした書簡がありました。漢文に明るかった漱石が残した文はとても格式高い。

また、実物の手紙を見ると、当時の漱石の息遣いが聞こえてくるようで身近に感じました。展示の量は多いわけではないですが、ゆっくり見るのにちょうどいい。

 

館内にあちこちに猫のイラストが書かれていて、もちろん「吾輩は猫である」に関連付けてということだとは思うのですが、猫ブームに乗っかろうとする雰囲気もちょっと感じました・・・。

 

記念館の裏には公園

記念館の外に出ると、裏手は公園になっています。

ちょうど建物の真裏には、当時漱石と家族が飼っていた猫(福猫)の墓を復元したものがありました。

住み着いた猫をモチーフにして漱石が「吾輩は猫である」を書いたということなら、猫が夏目家にもたらした福は計り知れない・・・。

ただ、夏目漱石は自身の随筆「硝子戸の中」で明かしているように、犬派だった模様。猫には「福」という安易な名前をつける一方で犬には「ヘクトー」というギリシャ神話に出てくる勇敢な兵士の名前を付けていたそう(うろ覚えの記憶によれば、あのアキレスと戦って敗れた兵士の名だったような)。ヘクトーってかっこいいな・・・。

 

おわりに

平日仕事をしていると「今後の週末あそこに行ってみよう!」と考えていても、いざ週末となると面倒くさくなってやめてしまう。そんなことは数えきれないほどありました。でもちょっとだけ興味あるなあという感情を無視し続けるうちに、自分が好きなことを忘れてしまう、そういう風に感じるようになりました。

30歳を前に、自分が好きなことを忘れつつあり、日々の生活で不満ばかり感じる自分を少しずつ変えたい。そんな気持ちから、これからはもう少し自分がやりたいことを面倒くさがらずにやってみようと思いました。

散歩はきっともっと面白くなる。