桐島、会社やめるってよ

読んだ本や見た映画についてのアレコレ

『AMY』

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あらすじ

27歳の若さで亡くなった天才シンガーのエイミー・ワインハウス。ロシア系ユダヤ人のエイミー(イギリス人)がほかにない個性的な歌声で一世を風靡し、グラミーも受賞したのはつい最近のこと。あまりに繊細で感受性の高い彼女は交際相手が常用していたドラッグに手を出し、次第に心身ともに追い詰められていく。

 

感想

私は高校生のとき、コンビニで数百円で買える海外セレブのゴシップを集めた雑誌を好んでたまに読んでいた。

たしか「GOSSIPS」みたいな名前。中身は他愛のないゴシップで、例えばレディー・ガガが激太りしたけどそのあと炭水化物ダイエットでやせただの、ジェシカ・アルバの着物スリーブの着こなしがおしゃれだの、そんな感じ。

 

そんな中でよくお騒がせセレブとして紙面をにぎわせていたのは、このエイミー・ワインハウス。黒髪を盛りにもって、まぶたにはぶあついアイライナー。お世辞にも絶世の美女ともいえない彼女がなぜこんなにも紙面に取り上げられるのか当時はよく理解していなかった。その後、彼女が亡くなったというニュースをなんかのウェブ記事で読んでひどく驚いたことを覚えている。

 

最近になってたまにエイミーの歌を聴くと、あまりに暗い歌詞に驚く。

特にBack to blackは、愛する男に捨てられて自分はまた暗い絶望に戻っていくという歌詞で、当時の付き合っていた男とのエピソードがこめられている。

救いにならない自分の気持ちを歌に昇華していたのですね。

一番のヒット曲がドラッグ中毒を治療するリハビリテーション病院には行かないよ、とうたった「Rehab」というのはとても悲しい。

 

このドキュメンタリーでは、富も名声にも興味のなかったエイミーが次第にパパラッチに追いかけられ精神を病んでいく姿がとらえられている。皮肉にも、このドキュメンタリーの素材となったのはパパラッチたちが必死になって追いかけてとった動画や写真だ。それでもエイミーの一瞬のきらめきをとらえたこのドキュメンタリーは素晴らしかった。若いころのあけっぴろげな話し方をするエイミーの写真が最後に差し込まれて切ない。