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『クイーンズ・ギャンビット』

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今、ちまたで話題のNetflixオリジナルドラマ『クイーンズ・ギャンビット』を一気見したので、早速感想など書いておく。

『クイーンズ・ギャンビット』は天涯孤独の孤児のベスがたぐいまれなチェスの才能を駆使して、世界で闘う姿を描く。

 

色々と面白かったポイントがあるのですが、まず第一に主演の俳優が良かった!

主人公役を演じるアニャ・テイラー=ジョイはユニークでお洒落な顔立ちをしている。1950年-60年代のおしゃれでクラシカルな洋服や髪型がお似合い。あと、チェスでその力を発揮し有名になるにしたがって着ている服がだんだん高級に、洗練されていくのだけど、そういう服装の変化も見ていて面白かった。子供にも大人にも見える顔立ちのため、14歳からのベスを演じています(すごい)。あと、顔がシュッとしているのに、意外と体形は細すぎないところが現代的でいいなあ、と。

 

さらに、里親である母との関係にぐっときた。

ベスは14歳の時に養子にとられる。普通、里親との両親の関係って悲しいものが多いと思う。昔読んだ『シーラという子』という本でも、引き取った里親が給付金狙いだったり、あるいは家政婦として家で使うために引き取られた女の子の話が出てきた。この作品では、そういう経済的なメリットも多少はあったのだろうけど、少なくとも母と子の信頼関係が構築されていることが伝わってきた。父となる男は仕事ばかりで妻の寂しさを思いやることがない愛のない人。母となるアルマは、自分のピアノの能力も社会で発揮できず、無為に過ごす日々を癒すためにベスを引きとった。結果的にベスは自分のチェスをのびのびとやり、母はビジネスパートナーのようにマネージャー役として張り切る。母は過剰飲酒がたたって、健康を害されていくわけだけど、血のつながりを超えた信頼関係があってよかった。この母と子の関係が深まっていく様子は中盤までのハイライトな感じがする。

 

付け加えておくと、有名な子役がちらほら出ていた。

序盤で強敵として登場し、その後のベスの人生でも重要な役を果たすハリー・ベルティック役の俳優。どこかで見たことがあると思ったら「ハリー・ポッター」シリーズのいじわるなダドリー坊や役の人。顔が特徴的で、悪役そうですが、実はいいやつ。初対面の印象が最悪なだけに、その後の挽回ぶりがすごい。顔の表情もあんなに変わるのね。

あと、中盤から登場するチェスの全米チャンピオン、ベニー役の少年。自慢ではないけど、一目で「あ!あの子役だ!!!」と思った。

クリスマスの定番映画として知られる「ラブ・アクチュアリー」で好きな同級生に告白するためにドラムをたたいていたあの可愛すぎる少年を演じた彼。成長が著しくて、結構ショックを受けてしまいましたが(あのときのかわいさはどこへ)、半分大人、半分子供みたいな神童感があって、なかなかハマっていた。

 

とりわけ自分が一番好きだったのは、ベス自身の世界観の変化。親も親代わりも亡くし、おまけに好きな相手とも結ばれることのない。そんな寂しさを常にまとったベスがやがて、チェスを通して出会った仲間と仲を深める。さらに、終盤では、孤児院での寂しい生活の中にあっても、かけがえのない人間関係が構築されていたことを再確認する。生きていく実感みたいなものを獲得していく過程がよい。

 

他にも色々好きなところがあったのですが、犬の散歩に行かないといけないので、取り急ぎここまで。全部で7話と、ドラマにしてはコンパクトなつくりで、なおかつチェスを知らなくても楽しめる。自分にとっては結構めずらしいことだが、一気に見てしまった。こんなドラマならほかにも見たい。