桐島、会社やめるってよ

読んだ本や見た映画についてのアレコレ

今週読んだ本

またしてもまた久々の更新。

だんだん、ブログの内容も雑になっていくけど、仕方がない。

今週は、小説を結構読んだので、一気に紹介。なんとなく気分で、女性作家というくくりで全部近所の図書館で借りてみました。

 

 

①『地球星人』村田沙耶香

主人公は物心ついた時から、自分を魔法少女だと信じる奈月。そう信じることで、生きづらさとか親からの虐待から、自分を隔離して生きる。唯一の理解者はいとこの由宇で、奈月が魔法少女であることを打ち明けると、彼はポハピピンポボピア星人だという・・・という。三島由紀夫の「美しい星」が、4人家族がそれぞれ金星人やら火星人だ、などと言い出すことで、逆に家族としての結束を強めていくというストーリーだったけど、これもまた近いモチーフを感じた。しかし、結末は結構衝撃的な展開で、ネタバレですが、奈月、由宇、奈月の夫(形式的に結婚した相手)が3人とも実はポハピピンポボピア星人であると確信し、生の実感を得る、みたいな最後だった。後味の悪さがずっと続くような内容で、好き・とか共感、みたいな感情はなかなか抱きづらい感じ。村田さんの出世作コンビニ人間」の方も、生きづらさみたいな空気が根底にながれていたけど、そちらの方がしっくりくる展開で好きだったかも。

 

 

②『肉体のジェンダーを笑うな』山崎ナオコーラ

山崎ナオコーラさんは、いい意味で、面倒くさい人だと思っていて。だけど、日常の違和感とか疑問を「まあ、こんなもんか」とか「前からこうだから」「周りも同じだし」みたいな感情でうっちゃったりしない人で、とことん言語化していこうという姿勢がとてもいい。最初に読んだ本は小説「人のセックスを笑うな」で、もはや内容は忘れたんだけど、映画化もしていたような。その後、社会人になってから、山崎さん自身の出産・子育ての経験をもとに書いたエッセイ「母ではなく親になる」を読み、より山崎さんの思想に触れた。そして、こちらの最新作である小説「肉体のジェンダーを笑うな」は近未来SF短編集という感じ。1つめの「父乳の夢」では、子供の頃からお父さんになりたかった哲夫が、結婚して、母乳が出づらい妻のかわりに、治療をして父乳を出すようになるという話。たぶん、山崎さん自身が経験した子育ての中で感じたであろう違和感がふんだんに取り入れられていて、主人公の夫婦の先進的な考えに投影されている。そのほかにも、妻のPMS(生理前の心身の不調)について、わかったようでわかっていなかった夫が実際にPMSを経験するようになったり、男女の肉体の強さの差で、決まってくる役割に違和感をもつ妻の話とか、新しくて面白い。星新一のような、タンタンとした言い回しには、山崎さんってこんな書き方するんだーと思ったり、新たな発見があった。嫌いな人は多そうだけど、私は非常に面白く読んだ。

 

③『さらさら流る』柚木麻子

28歳の菫は、大学生のときに付き合っていた彼氏にとられた裸の写真がネットに出回っているのをたまたま見てしまう。菫はリベラルでオープンな家庭でのびのびと育ったタイプで、元彼である光晴は逆に継母とのギクシャクした関係によって、自分の暗い感情を隠しきれずに生きるタイプ。光晴はまぶしいほどに自己肯定感があり、のびのびと生きる菫に憧れと妬みを持ちながら、お酒を飲むことで自らのいじいじした感情を消すようにして生きている。結局、二人は社会人になってから分かれてしまうのだが、その後画像が出回るようになる。二人の葛藤が過去と現在に切り替わりながら描かれる、そんな内容。最後は光晴が、仕事なくなって、裸一貫のような状態から、自分の足でしっかり生きていこう、的な感じの終わり(だと理解した)のだけど、正直あまりのれなかったかなあ・・・と。それは、自己肯定感が私も低いと思っているけど、鬱屈した感情とか光晴くんの感情とあまりシンクロしなかった。というか、菫が主人公だからこそ、菫の心情がありありと書かれている一方で、光晴については、あまり深堀されていなかったような感じがして、若干の消化不良感があった。

 

③『言い寄る』田辺聖子

不朽の名作と呼ばれる恋愛小説を読んでみました。デザイナーとして自立して働く女、乃理子の小説3部作の一冊目。

うーん、さすがに古いからでしょうか・・・。誰に対しても、気持ちが共感しなくて、最後の方は読むのもちょっとしんどいかな、というくらいの感想。自分はあまり好きではなかった。

 

④『選んだ孤独は良い孤独』山内マリコ

孤独にまつわる短編集。ちょっと正直あまり覚えていない・・・・。

 

⑤『できない相談』森絵都

こちらも短編集。昔、夫がゴロゴロしている横で掃除機をかけたら、うるさい、と言われた結果、家の掃除で夫の書斎だけは決してしない妻の話とか、そういういこじになった人たちの話が多かった。途中までは面白くよんだけど、最後の方は少し尻つぼみ感があったかも。