桐島、会社やめるってよ

読んだ本や見た映画についてのアレコレ

『罪の声』

2016年に出版されて、山田風太郎賞を受賞した本『罪の声』を読んだ。

去年には、星野源小栗旬主演で映画化もされたので、記憶にも新しい作品。

グリコ森永事件をモデルにして作られたフィクションで、かなり骨太なミステリ作品になっている。内容をあまり知らずに、映画の方の予告を見た時に、星野源の京都弁?にちょっと違和感を感じてしまって、映画はあまり見る気持ちがなかったのだけど、小説は面白そうだったので、図書館で借りてみてみた。

 

主人公は若きテーラーの曽根俊也で、ひょんなことから家にある古びたカセットテープと手帳を見つける。カセットテープを再生してみると、自分の子供の頃の肉声で、「ギン萬事件」の恐喝に使われたメッセージが吹き込まれていることに気づく。俊也はあまりの衝撃に、亡き父の親友である堀田と真相に近づくために、操作を始める・・・。という感じの内容。

 

実際には、曽根俊也のほかに、新聞記者である阿久津が、ともに別の方向から真相を突き止めようともがく場面が交互に差し込まれ、途中で2人が出会うという建付けになっている。グリコ森永事件といえば、私の生まれる前に起きた事件だけれど、有名な未解決事件としてテレビでたびたび見るし、あの犯人の似顔絵がなんともいえず不気味でちょっと怖い印象があるんだよなあ・・・。実際に、自分が抱く未解決事件への気持ち悪さと、この小説のリアリティさが絶妙にシンクロして、非常に面白い内容だった。