桐島、会社やめるってよ

読んだ本や見た映画についてのアレコレ

最近読んだ本(2月)

また日記を書かずにほかっておいたので、読んだ本がたまってしまった。

備忘録としてメモ。

☆3つはすごくおもしろかった、☆2つは結構おもしろい、☆1つはまあまあ

一応、言い訳みたいにしておくと、本が面白いかどうかはその時の気分とかにもよるので、また後で読み直したら違う評価になるかもしれない・・・。

 

①『最後の秘境 東京藝大:天才たちのカオスな日常』二宮敦人 ☆

②『あと少し、もう少し』瀬尾まいこ ☆☆

③『サラバ!西加奈子 ☆☆☆

④『リアルワールド』桐野夏生 ☆☆☆

⑤『週末海外』小林希 ☆

⑥『コスパのいい服』福田麻琴☆

⑦『世界の辺境とハードボイルド室町時代高野秀行、清水克之 ☆☆

⑧『あなたの脳のしつけ方』中野信子 ☆☆

⑨『世界一やさしい「やりたいこと」の見つけ方』八木仁平☆

 

 

①『最後の秘境 東京藝大:天才たちのカオスな日常』二宮敦人 ☆

まず1冊目は、知られざる東京藝大の学生の生態について、藝大生の妻を持つ作者が書いた本。実際にキャンパスで取材をして、様々な選考の学生の話を聞く。倍率の高い東京藝大ということで、全国から集まってきた精鋭たちがその才能を忌憚なく発揮する。

私は、やりたいことが明確な人に対して、「羨ましい」という気持ちがあるので、東京藝大を選ぶ人なんてまさにそんな感じの人ばかりだと思っていた。もちろん、そういう人もいるのだけど、それよりも、「絵を描くことを好きだと思ったことはない。それでも絵以外にやれることもない」みたいな感覚の人もいると聞いてちょっと肩の荷が下りた感覚にもなった。私が一つのことに打ち込めないのも、ある程度いろんなことに興味をもって取り組めるから、という風に考えることもできるのではないか・・・と思った。正直、最近新しいことを全くやっていないので、あらゆることへの興味が失われている感じがして悲しかったのだけれど、もう少し気楽にやっていこうと思った。

 

②『あと少し、もう少し』瀬尾まいこ ☆☆

2冊目の瀬尾まいこさんの『あと少し、もう少し』は中学生の駅伝の話。1区から6区までの生徒がそれぞれの視点から、なぜ駅伝を走るのかということを掘り下げる。『桐島、部活やめるってよ』では、物語の中心である桐島は結局どういう人間かわからないままにその周りの人たちの心情が深く描かれるところに面白さがあったけれど、こちらの『あと少し、もう少し』は全員の葛藤や思春期ならではのもがきみたいなものが丁寧に書かれていて、少し甘酸っぱい気持ちになる。不良な奴も含めて結局みんな「いいやつ」すぎて、なんだか自分が中学生のときのマグマみたいな感情とは違いすぎたのがちょっともやっとした。まあ、あまり楽しい青春ではなかったからこそのひがみでしょう…(笑)

 

③『サラバ!西加奈子 ☆☆☆

これは2016年くらいに確か直木賞を受賞している小説なので、超有名。図書館で見るたびに、「あ~読むか~・・・」と思いつつも、上下の分厚い本でなかなか手を出せずにいたのだけど、やっとのことで今回借りてみた。結果、すごい一瞬で読めた。この小説の面白いところは、メタ的な構造になっているというか。

主人公の圷歩(あくつ・あゆむ)は、イランで生まれ、駐在員の父の仕事の影響で、エジプトで暮らしたり、大阪に住んだりする。母譲りの美貌と、きかんぼうの姉の姿を見て育った歩はいつしか、周りの空気を異常に読める大人になってしまい、自分の感情を押し殺したままに大人になってしまう。その後、なんだかんだあって、主人公が本当の自分を見つけて小説家として新たに歩みだす、みたいな話なんだけど、それを読み終えたあとに、巻末の作者の紹介を読むと、「イラン生まれ、エジプト・大阪育ち」って書いてあって、これは西加奈子さん自身の本なのではないかという気持ちにさせられる。もちろん、いろいろなフィクションが挟まっているのだろうけど、多感な少女時代を海外で過ごしたことの影響がこの本に詰まっているのだろうなあ、と思いなんだか自分の人生を思い返すような気持ちになった。

 

④『リアルワールド』桐野夏生 ☆☆☆

これも図書館本なんだけど、借りて読み始めた瞬間に「あ、これ私、昔読んだわ」と思った。桐野夏生さんといえば、主婦が夫をバラバラ殺人しちゃう『OUT』とか、結構どぎつい作品が多いイメージで、『リアルワールド』も、近所の男子高校生が母を殺してしまい、それをなんとなく助けちゃう女子高生4人の話(以下、ネタバレ含む)。

 

面白いなあと思ったのは、クライマックスで、男子高校生ミミズと、ミミズと一緒に行動していたキラリンが事故で死んだのをしった、テラウチが、自殺しちゃうところで、テラウチはトシコに遺書を残す。死んでしまったのは、まあ、母親との関係とか、いろいろあるのだけど、周りからしたら、「自分のせいで友人を死なせてしまった女子高生が気に病んで死んだ」という簡単すぎる一言で終わってしまう点。本人がどんな葛藤を抱えていたかなんて、周りは全く知ることなく、そんなばかばかしいまでに簡単な一言で人生が総括されてしまう、そういう意味では、トシコは「自分はテラウチとキラリンの思いを受け継いで生きるしかない」という気持ちを強く持つようになる。なんか、やっぱり苦しくても生きていくしかないなあ、と思った。

 

⑤『週末海外』小林希 ☆

⑥『コスパのいい服』福田麻琴☆

 

この2冊はなんとなくソファでゴロゴロしながら眺めるのにちょうどいいかなと思って借りた本。まあ、あまり記憶に残っていないのですが、結論「旅に行きたい」。

 

⑦『世界の辺境とハードボイルド室町時代高野秀行、清水克之 ☆☆

これは結構面白い。冒険家でノンフィクション作家の高野さんと、歴史学者の清水さんの対談本。日本の中世と、ソマリアの社会構造が似ているということを足掛かりに、ソマリアの文化やら日本の中世について、縦横無尽に語る本。今ここで生きている社会がすべてではない、というか、自分が生きづらいなあ・・・と感じることが、別の文化圏では自明ではないという相対的な視点を身に着けることができた気がする。ここではないどこかに、自分のユートピア的な場所があるかもしれない、と思うだけでも少し気が楽になる。

 

 

⑧『あなたの脳のしつけ方』中野信子 ☆☆

これは非常に読みやすい本で、例えばどうやって努力を続けられるようになるか、とかモテる人はどういう人か、といった点について、脳科学の見地から解説している。

自分は本を読むのが好きだけど、正直何かに役に立ったことはあまりないと思っていて。それでもこの本で、あらゆるアイデアの源は歴史を学ぶこと、という記述があった。つまり、本を読むことは、楽しみながら物語からアイデアをゲットできる一番の方法だということらしく、少し自分のやっていることの正当性を認められた感じがした。

 

⑨『世界一やさしい「やりたいこと」の見つけ方』八木仁平☆

これは最近売れている本。まさに自分が悩んでいることなので、メルカリで中古本を買って読んでみた。

結果、「やっぱりやりたいことを見つけるのは難しい」なと思った。

筆者によれば、「自分が大切にしたい価値観」×「得意なこと」×「好きなこと」の掛け算で、やりたいことを見つけるのがいいという。

筆者の例でいえば「自分が大切にしたい価値観」=夢中になって生きたいし、他人にも夢中になって生きてほしい

「得意なこと」=一人でコツコツと考えること。また、同じことを繰り返すのは苦手で、毎回新しいことを試したい

「好きなこと」=自己理解

 

という3つの視点があり、それによって、「自己理解」を手段にして、ほかの人にも夢中になれるようなやりたいことを見つけてもらうための、オンラインセミナーを開催するようになった、ということらしい。

ここまで読んで、正直自分にとっての価値観や好きなこと、得意なことを見つけるのが難しなあと思った。

長時間やっていても苦ではないのは、やっぱり本を読むこと。大切にしたい価値観は、変わったことを知っている面白味のある人になりたい、ということで、得意なことはうーん・・・。コツコツ努力するのは最近は苦手だし、人前で話すのも苦手。得意なことに関する考察はもう少し必要そう。