桐島、会社やめるってよ

読んだ本や見た映画についてのアレコレ

『見えない目撃者』

www.youtube.com

 

昨日、アマゾンプライムビデオで「見えない目撃者」という2019年の映画を見たので、感想をメモ。

 

警察官を志す浜中なつめ(吉岡里穂)は、自分の不注意で起こした自動車事故で同乗していた弟を死なせてしまう。さらに事故の影響で視力も失ったなつめは、失意の中で警察から退職し、実家に引きこもる日々が続いていた。ある日、なつめはスケボーに乗る青年、春馬(高杉真宙)と自動車の接触事故の音を聞き、現場に駆け付ける。すると、車中から若い女性の「助けて」という声を聞く。警察は盲目のなつめの証言をまじめに取り合わないことから、なつめは春馬と協力して事件の真相を追い求める・・・という感じの話。

 

韓国映画の「ブラインド」をリメイクしたものらしく、一度ヒットしているから筋書のおもしろさはお墨付きなわけだけど、予想以上に面白くよくできた映画だと思った。

 

まず、主人公のなつめを演じた吉岡里穂さんの演技がうまかった。残念ながら吉岡さんの演技を今までちゃんと見たことがなく、どん兵衛のCMがかわいいなあ~というぼやーっとした印象しかなかったのだけど、この映画の中では説明がなくても目が見えない人に見えるし、なつめのひたむきな性格とか一生懸命さが伝わる演技だった。

 

配役という意味でいうと、俳優陣にめちゃくちゃ有名な人が少ないというのがこの映画を成功に導く鍵だったんだなあ、とすべてが解決し終わった後に思った。こういうサスペンスものは、誰が犯人なのかという点が視聴者側の緊張感をもたせるわけだけど、そういう意味で、この映画はよくわからない状況が続くのが良かった。

脱線すると、私が好きな「裏切りのサーカス」という映画は逆に有名俳優オールスターみたいな状況ではあったのだけど、その中でも渋さとか円熟味とかで「ああ、彼が黒幕だろうな」と予想できてしまう点が少し残念ではあった。

 

映画を見ていて、すべての伏線が回収されるべき、とかそんなことは決して思わないけど、この映画は前半で提示される様々な言動や各登場人物の性格がのちのちの行動や発言に見事につながっていく点がすごく見ていて腑に落ちるし、展開に納得感をもたせるつくりになっているように思う。もちろん、なつめが犯人から地下鉄の構内で逃げるシーンや春馬が車で追い回されるシーンなどの「さすがにこの展開は少し無理があるのでは・・・」等と感じる場面もなくはないけれど、終盤まで緊迫した雰囲気をつなぎとめる手腕はさすが。

 

これからも、こういう面白い日本映画をみたいなと感じた。