『ア・ゴースト・ストーリー』※ネタバレ
アメリカのテキサス郊外にこじんまりと暮らす夫婦。突然の事故により、夫は亡くなるが、幽霊となって家にとどまり続け妻の様子を見守り続けるという話。
あらためて予告を見返して気づいたのですが、映画の冒頭で夫婦でソファで抱き合っているときにこんな会話があるんですね。
妻:「子供のころ、引っ越しが多くて、メモを書いて小さく折りたたみ隠した」
夫:「内容は?」
妻:「忘れたくない思い出。そうすればいつかその場に帰ったとき、私の一部が待っていてくれる」
幽霊になった夫は、妻がその家を離れ、やがて家が取り壊され、大きなビルが建てられてもなおその場にとどまり続ける。そしてなぜか、遠い昔、まだ家が建てられるよりもずっとずっと昔の時代にもさかのぼる。そうしているうちに、やがて生きていたころの自分と妻にも遭遇する。
さらに同じ場に幽霊としての自分が2体存在する、カットも入ってくる。
なぜそんなことになるのか、言葉ではうまく説明できないけど、死後の世界ってきっと時間の流れが全方向的な気もしてなぜかわかるような気がする。
映画の最後で、幽霊は、妻が残していったメモを取り出し、その中身を読んで、ふっと成仏してしまう。不思議にさわやかで、いとおしい映画。書いてあった中身はわからないけど、夫との忘れたくない思い出が書かれていたのだろうと思う。きっと。
一つものすごく気になったのは、映画の冒頭ですぐになくなってしまう夫を演じたケイシー・アフレック。幽霊の役も彼が演じているんだろうか・・・長すぎるシーツをかぶって。妻が残したメモの中身も気になるが同じくらいシーツの中身にも気になってしまうのは、この映画の繊細さを真に理解していないんだろう、と思う。