桐島、会社やめるってよ

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『監視資本主義 デジタル社会がもたらす光と影』

 

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Googleの元社員やPinterestの元CEO等、いわゆる中の人がSNSの闇について警鐘を鳴らすNetflixオリジナルドキュメンタリー。自分もちょっとスマホ中毒っぽいところがあり、それを懸念していたので、かなり面白く鑑賞した。

 

私の世代は大学生のときにはやっていたSNSといえばmixi。大学生も後半になってやっとFacebookが普及し始めたと記憶している。Instagramは社会人になってから人気が出てた。私はというと、結構承認欲求が強いという自己認識がありつつ変に自意識が強いので、ほとんど投稿はせずに他人の投稿を見るのに注視していた。一方で、たまに投稿すると、他人の反応が気になって一喜一憂していた。そして投稿ごときに一喜一憂する自分にもなんだか嫌気がさしていて、FacebookやらInstagramの運営の手のひらで踊らされているなあという印象がずっとあった。それでも私の世代はまだいいほうだと思う。今の中高生なんて生まれたときからSNSが当たり前にあって、本当に大変だと思う。

 

さっき、電車に乗っていたらとなりに座っていた女子高生はInstagramを必死に見ていた。ちらっと目に入ってしまったのだが、フォローしている友達の動画の投稿を全部見ては、コメントをさっと入れたり、コメントを入れる手が止まったりと、いろいろと大変そう。Tik Tokにいたっては、Youtubeの広告によく入ってくるのがどうしても不快で嫌いなのだが、今の若者には短い動画でわかりやすくウケるというのがいいのだろう。こんな苦言を呈す、みたいなスタイルに自分が足を突っ込んでいる点で、時代の流れを感じる。

 

このドキュメンタリーではいかにSNSの開発側がユーザーを長くそのアプリやサイトにとどまらせるかに腐心しているかを強調する。

If you are not paying for the product, then you are the product(もし、その商品に何の対価も払わないのなら、あなた自身が商品なのである)というメッセージは身に迫るものがある。

そしてスマホ画面をスワイプし続けることで新しい情報を得るという行為がボタンを押し続けると食べ物が得られるみたいなどこかで見た報酬に関する動物実験を想起させる。だれもがスマホを持ち過激なフェイクニュースほど広く流布するという構図が今の社会の分断を引き起こすという単純な構図に対しては少し疑問も持ったが、SNSが演じる役回りの重要さには大いにうなずいた。

感心しながらドキュメンタリーを見終わったあとに、すぐにNetflixのリコメンド機能で「あなたにお勧めの映画はこちら」と出たのには皮肉がきいているなと思った。