桐島、会社やめるってよ

読んだ本や見た映画についてのアレコレ

『出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと』

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復職して1ヶ月くらいたつわけだが、どうもやはりストレスが溜まってきたと感じる。別に仕事の内容がハードルが高いわけではなく。そして、私自身には仕事があまりないのに周りの人はめちゃくちゃ忙しそう。なら、他の人を手伝えばいいのでは?と思うのだが、責任が増えるのが嫌で、声をかけないという。給料をもらっている社会人としてはあるまじき振る舞い。でも、まあ、そういう人間なのだからしょうがない・・・。

勤務時間が終わって、あまり疲れていない体と若干の罪悪感を持てあまして、もやもやする心を抱えると、すぐにソファにごろりと寝転んでテレビをつける。テレビをつけても面白い番組がやっていなくて、すぐに自分の仕事のことを考えてしまう。こうなると、どんどん気持ちが落ち込んでしまうことがわかっているので、ひとまず外に出る。ノーメイク、かつ防寒重視のユニクロのダウンで行く場所は図書館しかなかった。

 

図書館に行くたびに気持ちがすぐにリフレッシュされることは多かったが、昨日はあまりそうでもなかった。図書館に入って本に囲まれても自分の中のドロドロとしたネガティブな気持ちがおさまることはない。それでも、館内を歩くとなんとなく気になっていた本に出会えたりするから不思議だ。今回はこの『出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと』だった。

この本は、以前雑誌ブルータスの本特集にのっていて少しだけ気になっていたものの、すぐに忘れていた。でも偶然に近くの図書館で出会えた。本屋で出会っていたら買ってはいないだろうけど、図書館なら気軽に借りられる。

 

この本の内容はまさにタイトル通りである。本好き、サブカル好きが高じてヴィレッジヴァンガードで10年以上勤めていた主人公の花田さん。しかし次第にヴィレッジヴァンガードも経営のために、以前の尖った商品ラインナップが減り、本自体もあまりおけなくなってしまった。本好きの花田さんは、そんな仕事上のもやもやと夫との別居開始をきっかけに、興味本位でマッチングアプリで見知らぬ人と会うことを始める。これは実際に会った人に合いそうな本を進めまくった1年間のことを書き綴った本である。

「出会い系」とあるが、恋愛目的の出会いに特化しているアプリではなく、性別関係なく、面白そうな人と実際に会って話したいというニーズを満たすものらしい。とはいえ、様々な目的を持った人がいるわけで、花田さんも出会いの中で嫌な思いをすることがままあった。しかし、次第に逆にかけがえのない友人との出会いとなり、その出会いを通して、次第に赤の他人と関係を持つことのハードルが低くなっていく。この1年間で花田さんが得たことといえば、自分の本当に好きなことは何なのかということ、自分がどんな人間でありたいかを改めて気づいたということだった。現在の花田さんは、この経験をきっかけに蔦屋のブックコンシェルジュや下町の本屋の店長等を経て、日比谷のHMVの店長をしている。

非常にさらっと読めて、前向きな気持ちになれる本である。読み終わったときには、少しだけ心の中にくすぶっていた重たい気持ちが軽くなっていた。同じことは私にはできないけれど、本をもっとたくさん読んで、このブログでも感想とかどういうところが好きだったとかをもっと書けるようにしたいな、という前向きな気持ちになった。